おりおりの猫16

黒猫は暗闇で目だけが光って見えるので気味悪がられて、西洋では魔女の使いとして迫害されたといいます。日本では逆に暗闇でも目が見えるというので魔除けとして珍重されて、宇多天皇(在位887-897年)も黒猫を飼っていたという記録があります。平安時代に飼われていた猫でいちばん有名なのは『源氏物語』若菜上の帖に登場する女三の宮の飼い猫でしょうが、残念ながら毛色についてはわかりませんね。

世の中こんなもんで委員会 2024年6月6日

東京都税の使い道

小池都知事は2016年、都知事に立候補するにあたって政策として「7つのゼロ」を掲げていました。待機児ゼロ、介護離職ゼロ、残業ゼロ、都道電柱ゼロ、満員電車ゼロ、多摩格差ゼロ、ペット殺処分ゼロ。実現したらすばらしいと思っていたのですが、本当に実現したのはペットの殺処分が減っただけです。ペットは大事にされるようになりましたが、都民は大事にされていませんね。

じつはこの「7つのゼロ」という標語は、かつて1967年から1979年まで3期続いた美濃部都政の標語「8のゼロと10の初めて」のパクリです。

美濃部さんの「8のゼロ」は次のようなものでした。老人医療無料化。妊婦健診無料化。予防接種無料化。公害健診無料化。し尿くみ取り無料化(まだトイレの水洗化が普及していなかったのです)。小学生以下の動物園など都立公園入場料の無料化。担保なし・保証人なし融資の信用保証料肩代わり。生活保護世帯の上下水道料金の無料化。これを全部実現したのです。国ができないことを都がやった。まさに人にやさしい政治です。

その後の都政は悪くなる一方で、老人医療費の窓口負担は2割、収入によっては3割になってしまいました。国の福祉政策が貧しくても、東京都が補填すればいいだけの話なのですが。口先だけの小池都政と約束を守った美濃部都政。これだけ違います。

東京都はお金がないから人にやさしくできないのか。まったく違います。東京都は全国唯一、地方交付金、つまり国からの補助金を受けずにやっていける、税収入の多い自治体です。2022年度の都財政は31億円の黒字でした。その豊かな収入が、公園をつぶして都市再開発に使われている。税金はどこに使うべきか、都政を変えるとはどういうことか、考える機会が7月7日にやって来ます。