安倍政治に別れを告げる年に

「春のつどい」の記録 その2
2月24日に開催された共産党とよにし応援団「のむら区議を囲む春のつどい」で、大内要三さん(日本ジャーナリスト会議会員)は「安倍政治に別れを告げる年に」と題して以下のような報告をしました。

2月20日、安倍晋三は首相在位連続2248日となり、吉田茂を抜いて戦後第2位の長期政権になりました。1位は佐藤栄作で、8月24日に安倍がこれを抜きます。
第1次安倍政権が成立したのは2006年ですが、就任演説で「美しい国」を作ると言いました。彼の言う「美しい国」とは憲法改正と「富国強兵」を実現した国だと思いますが、これは祖父の果たせなかった夢を叶えるということでしょう。しかし岸信介は母方の祖父であって、父方の祖父・安倍寛は戦争中に大政翼賛会の推薦を受けずに当選、三木武夫とともに東条内閣退陣を要求した代議士でした。こちらの祖父のことを安倍晋三は言いませんね。
安倍が憲法改正を目指すのは、侵略戦争の反省のうえにできた日本国憲法の時代を中抜きした歴史を作りたいからでしょう。しかし侵略戦争を反省しないと韓国・中国との関係は悪化するばかりです。
その安倍は第1次政権で憲法をまるごと変えようとして失敗、政権復帰してから96条改憲、つまり国会議席の3分の2以上でなく過半数で発議させようとして失敗。今度は9条の文章はそのままにして自衛隊を認知する条項を新たに書き込む提案をしています。ハードルをどんどん下げて、何でもいいから改憲の実績を作ろうとしてきました。

改憲の実現のために、昨年9月の第4次安倍内閣の発足に伴い自民党人事がありました。総務会(大会に次ぐ決定機関)から石破派を一掃、会長に安倍腹心の加藤勝信を据えた。党憲法改正推進本部長に側近の下村博文を据えた。衆議院憲法審査会筆頭幹事に側近の新藤義孝を据えた。「改憲シフト」の人事です。11月29日には、野党欠席のまま強引に会長職権で憲法審査会を開催しました。ここで決めないと国会に改憲を提案することもできないのです。それでも自民党内部をまとめることさえできずに、国会に改憲の自民党案を提出することもできずに昨年の国会は終わりました。今年は天皇交代に関する行事などで日程が混んでいますし、来年はオリンピックです。
「富国強兵」の富国のほうでは、アベノミクスは失敗、貧富の差が拡大しました。統計をごまかしても、労働者の実質賃金の低下、可処分所得の低下は明らかです。子どもを育てられないので少子高齢化の進行、子どもの貧困は深刻になっています。高額な国民健康保険料・介護保険料の年金からの天引きが高齢者の生活を脅かしています。
「富国強兵」の強兵のほうでは、防衛予算の急上昇が問題です。いま来年度予算が国会審議中ですが、防衛予算は5兆2574億円に達しました。第2次安倍政権成立の2013年度防衛予算は4兆7538億で21世紀最低だったのですが、以後毎年増加しています。米国製兵器の爆買い予定は、昨年暮れの「防衛計画大綱」にみんな書いてあります。

しかし安倍政権の「実績」で一番の問題は、ウソをついてもいい、都合の悪いことは隠してもいい、公文書を書き換えてもいいという、モラル崩壊を国会に、政治に、社会に広げたことです。人が信じられなくなったら世の中終わりではないですか。ひとりのジャーナリストとして、これだけは絶対に許せない。こういう社会で子どもがまともに育つでしょうか。
そんな安倍政権の支持率がなぜ高いのか。ひとつ、やっているふりをマスコミが報道して、実績はないのにがんばっているという印象を与えていること。ふたつ、どうせ政治は変わらないという諦め、無関心が広がっていること。みっつ、もっと悪くなったら困る、なんとかやっていける現状を維持したいと多くの人が思っていること。これではないでしょうか。やっていけないのは自己責任?自公責任でしょう。
いま必要なのは、政治は変えられる、という自信をもつ人を増やすことだと思います。安倍について行けば大丈夫という期待は、自民党の中でも急速に薄れつつあります。4月7日投票の県知事選が10の道県でありますが、うち4道県では与党分裂です。4月21日の市長選・東京特別区議選はどうなるでしょうか。7月21日の参院選で、改憲勢力が3分の2の議席を確保することは困難ではないでしょうか。ぜひ今年を、安倍政権に別れを告げる年にしたいものです。