つつじ公園が荒れている
練馬駅北口の平成つつじ公園は、もとカネボウ(鐘ヶ淵紡績)の工場跡地でした。多角化に失敗したカネボウの経営が破綻したあと、工場跡地を買い取った練馬区は、ここに文化センターを建設し、1994年に平成つつじ公園をつくりました。
この公園について、練馬区HPでは次のように書いています。「公園には、およそ600品種10,000株のツツジの仲間が植えられています。久留米ツツジを中心に平戸ツツジ、霧島ツツジ、野生種、サツキツツジ、アザレア、シャクナゲとバラエティーあふれるツツジの仲間が集められています。この収集、栽培にあたっては、久留米市および財団法人久留米市世界つつじセンターに協力いただきました。」
なるほど、だから久留米系の品種が多いのですね。ツツジもシャクナゲもサツキも同じツツジ属の仲間、アザレアは欧米で改良された品種群です。九州のミヤマツツジや全国の山中で見られるヤマツツジのような野生種から、江戸時代にツツジの多彩な品種がつくられました。平戸系は武家屋敷での自然交雑から生まれたと言われます。
平成つつじ公園はいま、荒れています。毎年、造園業者さんにより手入れがされてはいますが、品種名札があちこちで失われていたり、枯れた珍種のあとをどこにでもあるような品種で穴埋めしたり。せっかく当初は多品種を集めながら、見本園的な役割は果たさなくなっています。花が咲けばなんでもいいだろう、ではあまりにも悲しい。
親になった久留米の世界つつじセンターには、母樹を保存し、増殖し、品種改良もする施設が整っています。植えておくだけでは経年で衰えていくのが明らかだからです。練馬には造園業者さんが多いのですから、バックヤードを整備して品種を保存するような努力をしないと、せっかくのつつじ園はさらに荒れていくのではないでしょうか。